=好きだから=
「なぁ!なぁ!ルパン!!」
うきうきと嬉しそうに声をかけてくるのは、ウチのバカうさぎ。
仕事も言うとおりできないし、そのくせ妙に天然で嫌味すら通じなくてこっちがヤキモキさせられる相手。
だからと言って、手放すこともできない。こんな奴野に放したら、速攻で犯されてボロボロにされちまうだろうよ。
何にもわかってないこの無邪気なうさぎを、俺様は仕方なく飼ってやってるわけ。わかる?
「で・・・・、何?」
俺がため息ひとつ付いて考え事をしている間も、このうさぎは俺の周りをうろちょろうろちょろ回って俺が応えるのをキラキラとした目で待ってやがる。
以前、しつこく「ルパン!ルパン!」と騒ぎやがったから黙らせるために手荒くキスしてやったのを思い出す。モノ覚えの悪いコイツも、身体に教えてやると何とか覚えるらしい。
口は閉ざしていたって、十分今の状況はうざいということをわかってんだろうかね・・・。
「あのさ、今日何の日か知ってる?!」
俺が応えたことがそんなに嬉しいのか、待ってました!とばかりに笑顔で俺に問う。
知ってるよ。バレンタインだろう?
コイツが言いたいこともしたいことも、俺様の脳内じゃ何でもお見通し。
・・・・あまりにも破天荒なことされっと、ちょっとばかし俺様の脳も理解に苦しむが・・・。
「さぁ?何の日かな。」
とぼけて言ってやると、ぴょこ、と跳ねるうさ耳。
「バレンタインだよ!好きな人に、チョコ贈る日!!」
にこにこと、嬉しそうにしちゃって・・・・。
「へぇ、それで?」
「これ、ルパンにやるな!」
さっと現れた物は、可愛いラッピングまでされたハート型のチョコレート。
女の子からもらうならともかく・・・・。わかってんのかね、このうさぎは。
「何?お前俺のことそんなに好きなの?」
ちょっとからかってやろうと、にやにやしながら聞いてやると真っ赤になって「うん!」だって。
・・・素直すぎて、全く皮肉も通じないときやがる。
「はいはい、あんがと。」
とりあえずその愛情たっぷりのチョコを受け取って、俺はその場を後にした。
出掛ける俺を見て、寂しそうな目をする次元に「イイ子で待ってなさいよ。」とだけ告げて。
最後に、「今日、帰ってくる?」だってさ。
今日はお前の言う通り、バレンタインだぜ?カワイ子ちゃんと夜を過ごすに決まってんでしょ。
次元の問いには答えず、ばたんと扉を閉じた。
ーーーーーーーー
「あーあ。こんなチョコ持ってたんじゃ、カワイ子ちゃんに誤解されちまうじゃねーか。」
町をぶらぶら歩きながら、先程渡されたチョコを手に取る。
一瞬捨てようかとも思ったが、どうしても次元が一生懸命このチョコを作っている姿が脳を掠めて戸惑われる。
「はぁ・・・仕方ねぇなぁ・・・・。」
わざとらしくため息をついて、包装を破る。別にアイツからもらったのを食べたいわけじゃねぇ、けど、捨てられないし持ち歩けないならそれしかねぇだろ?自分にそう言い聞かせて。
開けてみれば、やはり中身も可愛いハート形。
「ん?」
一緒に入っていた小さなカードを見つける。
どうやら、メッセージカードらしく。何でも雑な次元らしくない、小奇麗な字で書かれていた。
色々悩みながら書いたのだろう。下書きまでうっすらと見える。
「なになに・・・?”いつも、迷惑ばかりかけてごめんなさい。ルパンの役に立てるよう、いっぱい頑張るから。だから、嫌わないで?”」
ー世界で一番、大好きなルパンへー
「〜〜〜〜〜っ・・・・////////」
小さなカードに詰まった、次元の可愛い想いに心が締め付けられて。
顔なんてすんごく熱いし、明らかに真っ赤になっちまってんじゃねぇかと思う。
「あんの、バカ!//////」
これからカワイ子ちゃんをひっかけようと言うのに、この顔じゃ目も当てられない。
この代償は、高くつくからな!
独りで呟きながら、可愛い俺のうさぎが待ってるアジトへ、俺は急いで戻るのだった。
ー好きだから、ちゃんと愛を伝えたくてー
Fin.
好きだから、ちゃんと愛を伝えたくてへ
いつもお世話になっております『愛まいな。』様から、素敵なバレンタインフリーテキストを頂いて参りました!
読んで頂ければその可愛さが分かるので、ワタクシなんぞの感想をグダグダ書くまでもありませんよねっ
2nd、パースリもそれぞれ素敵なので是非に!
ちなみに企画で1位を獲得した1stルパン様×兎ちゃんには続編がありますので、そちらも是非に!
甘々ラブラブなツンルパンさんが可愛くてしかたありませーん
澪さん、素敵な素敵な企画&テキストありがとうございました!!!