=好きだけど=



「じっげんちゃ〜〜んvvv」



「チョコが欲しいんだろ?」

「え、何でわかんの?!」

朝も早くから、珍しくルパンが食事を作って次元が起きてくるのを待っていた。
普段ならば、次元が起こさなければ中々起きてもこないくせに珍しいことこの上無い。

しかし、今日が何の日かを考えればすぐにピンとくると言うもので。

2月14日ー

恋人や好きな人がいる者なら、誰しも楽しみにするであろうバレンタインだ。
次元自身、全く興味はないものの毎年毎年ルパンがチョコチョコと騒げば嫌でも覚える。

「そりゃ、長い付き合いだから・・・・な。」

ふん、と妖艶に笑えばルパンはデレっとした顔になる。
チョコレートも今日を見越してちゃんと作ってはいた。
でも、普通に渡すんじゃ楽しくないだろう?なぁ、ルパン。

「もう愛してるぜ次元〜〜〜vvv」

「俺もだぜ、ルパン?」

にこりと珍しく愛を返せば、感極まったように抱きついてくる。非常に邪魔だ。
さて、ここからがお前に与える課題。

「ルパン、ほら。ここに俺が愛情をこめて、精一杯作った手作りチョコがある。」

「わ!わ!!////もう俺様感激!!!!」

「欲しいだろ?」

「もちろん!!!」

今にも食いつきそうな勢いで、ルパンはそのチョコにくぎ付けだ。

「でもよ・・・・・ルパン・・・・?」

わざと甘く、低い、情事を想わせる声でルパンにそっと肩をよせる。ルパンの顔は明らかに驚きと期待とが入り混じった複雑な表情を見せる。

「チョコと、俺と・・・・どっちがイイ?」
「え?!//////」

誘うようにルパンの頬に手をかけて、キスできる程近く自分のそれを寄せる。
そりゃ、もちろん答えは?

「そっそりゃ!!次元ちゃんに決まってんでしょおおおおっ!!!!/////」

するり、危なく抱きつかれるところを俺は難なく避けて立ちあがる。
どさりとルパンは情けなくも今俺がいたところに突っ伏して倒れる。

「じ、次元ちゃん・・・・?」

うらみがましく俺を見てくるルパンに、ひとつため息をついて。

「ルパンは・・・俺の愛(のこもったチョコ)より、身体をとるんだな・・・」

それこそわざとらしく、寂しそうに悲しそうに、顔を伏せてそう言ってやる。
がーーん、と頭に何かぶつかったような衝撃をルパンは受けたようで、大口を開けて呆然としている様を横目に入れて。

「ちっちちちち違うってば次元ちゃん!!!俺は・・・・」

「心より、身体が目当てなんだろう?」

「ちがーーーーう!!!!!!」

慌てて縋ってくるルパンに、たたみかけるように問いつめれば頭を抱えて悩みだす。

「へぇ、そんなら気持ち(チョコ)、もらってくれんのか?」

にこり、と再び笑みを作ってルパンを覗きこむと「そ・・・・それなら、身体は・・・あの・・・・」とかもごもご言ってやがるからタダでは起きない野郎だと呆れる。

「もちろん、お預けだ。」

さらりと告げればがっくしと項垂れるルパン。これが天下の大泥棒かと思うと、全く可愛くて仕方がない。

「そんで?答えは?」

「・・・・どっちも・・・・」

「あ?」

「いえ・・・・・っあああもう!!!心の方が大事ですーーー!!!!!チョコちょうだい!!!くださいいいい!!!!」


やけになって叫びだすルパンに、内心でくすくすと笑ってチョコを手渡す。
渡し際に、おまけのキスを与えて。



ー好きだけど、すぐにはあげないー

Fin.





『愛まいな。』様より頂きました、素敵バレンタインフリーテキスト第3弾!パースリヘタレルパン様×ワンコさん!
実は、ワタクシはこれに1票投じさせていただきましたー^^すっっっっごく悩んだんですけど、ルパン様のヘタレ具合が可愛くて(´ω`*)
たまには次元さんに遊ばれるルパン様もいいですよねっ♪
澪さん、素敵企画&テキストありがとうございました!!!

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