1ヶ月かけて仕込んだ仕事も終わり、そのまま修行に行くという五右ェ門と別れ、ようやくアジトにたどり着いたのは明け方近く。
今回も首尾は上々で、獲物はルパンのポケットの中にしっかりと納まっている。
「そのまんま修行に行くなんて、あいつはホント勤勉な奴だよな」
「少しぐらい寝てからでもいいんじゃねぇの?俺なんか眠くてかなわないぜ〜」
ルパンはくああと大きなあくびをした。ちょっと大きなヤマだったから、ここ数日は最後の仕込みでほとんど寝ていない。
仕事が終わり、緊張の糸が切れたせいもあるだろう。
「んじゃ寝るか。俺も眠い」
咥えていたペルメルを灰皿に押し付け、自室に戻ろうとした次元をルパンが後ろから抱きしめた。
「…おい」
そのままネクタイを緩めようとするルパンの手を押さえつけ、次元が唸る。
「眠いんじゃなかったのか?」
「ん〜睡眠も不足してるけっどもね。俺、今それ以上に次元不足なの」
さらっとそんなことを言い、ぬふふふと笑うルパンに、次元はやれやれと肩をすくめた。
確かに仕込が手間取ったせいもあり、ここしばらくそういうことはしていないが。
「だからって何だ次元不足って。野菜不足みたいに言いやがって」
もぞもぞとルパンの腕の中で向きを変える。正面から睨んでやったのに、ルパンはにやにや笑って全く意に介していないようだ。
「いいじゃんか〜」
な?と耳元で囁かれれば、ぞくっと身体の方が先に反応するのだから慣れというものは恐ろしいものだ。
「ったく…」
ネクタイを引き抜かれ、帽子を取り去られ。抵抗をやめた次元の唇に、ルパンのそれが重ねられた。
合わせられた唇から入り込んだ舌が歯列を這い回り、舌に絡みつく。
上手く息が継げずに身を引けば、零れた吐息が思った以上に艶かしくて、次元は自分で赤面してしまう。
「か〜わいい」
そんな様子を見たルパンにクスリと耳元で笑われた。
その間にするりとルパンの右手が次元のスラックスの中に滑り込む。
「んっ…」
既に熱を持って猛り始めていたところに器用に手を這わされれば、ずくっと腰が疼き、ルパンの手の中でみるみる質量を増していく。
快感が、背筋を駆け上がっていく。
「もう勃っちゃった」
「っるさ…うぁっ!」
首筋に噛みつくようにキスを落とされ、圧し掛かられてそのままソファに倒れこむ。
シャツを脱がされ、首筋から胸元へと唇が降りていく。
甘噛みするように胸の尖りを転がされると物欲しげに喉が鳴った。
「どうして欲しい?」
熱っぽく囁かれ、思うまま身体中を這い回る手と熱い吐息に思考がまとまらなくなる。
「…好きにしろよっ!」
「素直じゃないねぇ、ホント。じゃあこんなことしちゃおっかな〜」
下着ごとスラックスを脱がされ、濡れて反り返った性器があらわにされる。
外気に触れてふるりと揺れたのもつかの間。次の瞬間、暖かく柔らかいものに包まれた。
「っ!!」
甘い喘ぎを零しそうになったのをすんでのところで堪え次元は腰を引こうとするが、しかしルパンはそれを許すことなくこらえきれない露を溢れさせる先端を舐めあげ、喉の奥まで飲み込んでしまう。
じゅぶじゅぶと淫らな水音があたりに響く。同じ男同士だからこそ、的確に次元の弱いところを捉え、追い上げる。
「やめっ…っぁ!!」
「ひもひいいくへに」
「しゃべんなっ!!…く…ぁ!」
押し返そうとして伸ばしたはずの手はいつの間にかルパンのシャツをきつく掴んでいた。
先端を咥えられたまま手で上下に扱かれれば、次元は耐え切れずに腰を揺らした。
「ぁっ!!」
いとも呆気なく達してしまいったのがなんとなくいたたまれず、荒い息をつきながら見れば、ルパンは次元が放ったものをだらりと自分の手に出ているところだった。
「…そりゃねぇだろ。変態」
思わず顔をしかめたが、ルパンは笑うだけだった。
唾液と精液で濡れた手を後ろに回してくる。普通なら他人が触れることなどないそこに指をかけられ、びくりと身体が強張る。
ゆっくりとルパンの指が進入してくる。長い指は器用に中をかき回し、次元の感じるところを的確についてくる。
「んっ…」
ある一点を掠めたとき、次元から鼻にかかった吐息が漏れた。放ったばかりの身体が再び熱を持ち始める。
なすすべもなくただルパンにしがみついているというのも芸がない話だが、実際のところ身体に力も入らないしどうしようもない。
それでもルパンは何がいいんだかちゃんと興奮してるらしく、スラックス越しにあたるものはずっしりと熱を帯びていて、それを感じてまたぞくっと腰が疼いた。
「そろそろいい?」
さすがにちょっと切羽詰った顔でルパンが聞く。
「ダメって言ったらどうするんだよ」
「ん?聞かなかったことにする」
「意味ねぇ、それ」
手早く着ていたものを脱ぎ捨てるルパン。ソファの下は2人の脱ぎ散らかした服で足の踏み場もない。
足を抱えあげられ、さっきまでルパンの指がいたところに、指よりもっと質量があるものを押し当てられる。
「う…」
じわじわと進入を開始するそれ。指とは比べ物にならないくらいの圧迫感に、思わず腰を引きかける。
「息吐いて力抜けよ…」
身体を開かれる違和感は、何度身体を繋げたところでゼロにはなりはしない。
それをわかっているから、進入してくるルパンを拒むかのように締め付ける次元にルパンが囁く。
「そのまんまじゃ俺よりお前が辛いから」
この後に及んでそんな優しいことを言うルパンに、次元は小さく息をついた。
「…いいから来いよ。そんなこと言ってる余裕なんかないくせに」
乱れて降りた前髪の下で、黒い眼が笑った。
「知らねぇぞ?」
ルパンも小さく笑った。
そして、その唇にキスを落とし、一気に腰を進めた。
「――――――っ!!」
痛みと、熱と、圧迫感と。だがそれだけではなく、身体の奥からこみ上げてくるのは紛れもない快感。
次元の中が馴染むのを待ってから、ルパンがゆっくりと動き出す。
「あ…っふ…ぁあっ!」
穿たれるたびに、閉じきらない口角から喘ぎと唾液が零れ落ちていく。
それがみっともないとか思うだけの思考回路はとっくの昔にショートしてしまい、今やルパンの背に手を回し思うまま揺さぶられて快感を貪る。
どこからが自分でどこからがルパンか。その境界線すら次元にはよくわからない。
どこもかしこも熱くて、触れたところから溶け出して、ぐずぐずになってしまいそうで。
「ふ…ちょっとヤバイ…かも…イッていい?」
珍しくルパンのほうが先にそんなことを言う。が、次元の方だってもうそんな余裕はない。
揺さぶられるままがくがくと頷けば、ぎゅっと抱き寄せられた。
「ん…」
喉の奥で小さく呻いて、抱え込んだルパンの身体が小さく震えた。繋がった中に熱いものが溢れていく。
そして、次元のほうもそれに誘発されるように堪えていたものを開放した。
ぬめった体液が密着した2人の腹を汚していく。
そのまま抱き合ったまま、息が収まるのを待つ。
「おい、ルパン?」
そうしているうちにぐったりと体重を預けられ、さすがに重くて次元が顔をしかめた。が、呼ばれたルパンのほうは返事もない。それどころか。
「…おい?…まさか寝てるのか…?」
胸に埋められた顔を覗き込むと、ルパンはなんとも心地良さそうに寝息を立て始めていた。
「…カンベンしてくれよ…」
この体勢で体重を預けられたのではたまったものではない。しかも狭いソファの上では体勢を変える間にどちらかが落ちるのは間違いない。
出来ることならベッドで寝たいし、それより先にシャワーも浴びたい。が、どうやらルパンが目を覚ますまではお預けになりそうだ。
「ま、悪かねぇ…かもな」
珍しくすやすやと無防備な寝顔を見せるルパンの髪をそっと撫で、次元は目を閉じた。
Fin.
【あとがき】
なんというか、果てしなくエロが書きたかっただけみたいになっちゃったと反省。まさにやおい。
もっとルパンのほうが立場強いのもいいなぁとは思いつつ、今回はこんな感じになってしまいました。
無防備な次元はもちろん萌えですが、それ以上に無防備なルパンはもっと萌え!
なんだかんだ言いながら次元はルパン大好きだし。
俺様気質のルパンがたまーにこういう無防備な顔を見せるとしたら、やっぱそれは次元ちゃんの前かなぁとかいう妄想ゆえにこうなりました。
それでも左右は入れ替わらないんですけどね〜
'10/06/13 秋月 拝