Sleep late in the morning

 暖かい部屋。少しばかり眩しい、窓から差す太陽の光。どこからか俺を呼ぶ声。

(…元……次元…?)

 ほんの少しハスキーで特徴的なくせに、甘く耳馴染む声。その声が、俺を眠りの世界から連れ出す。

(ほら、起きろよ次元?)

「ん……も少し…」

 昨夜は仕事をひとつ片付けて、帰ってきてから目一杯酒を飲んだ。 そんなことをふわふわと思い出す間にも、意識は眠りの波間に沈んでいく。

(…ったく、しょうがねぇなぁ)

 そんな声が聞こえて、ふわりと暖かいものが俺を包んだ。

「んー……」

―あぁ、あったけぇなぁ…―

 その台詞が夢か現実かもよくわからないまま、心地いい温もりに身を委ね、俺はまた眠りに落ちていった。

*  *  *  *  *  *

「ルパン、次元、おらぬのか? …うん?」

 修行に出る前に挨拶でもと、アジトを尋ねた五右ェ門。 中から返答がないのを訝しく思い、部屋に足を踏み入れ、眉間にしわを寄せた。
 酒と煙草の匂いが充満する部屋の中。林立する空の酒瓶。封の開いたつまみの袋。灰皿に山盛りの吸殻。 開けっ放しのカーテンからはその荒れた室内とは対照的に、まろやかな明るい光が差し込み、 その陽だまりの中にまるで猫のように丸くなる二人の姿。
 フローリングの陽だまりに、ワイシャツ姿で、薄いタオルケットに包まって眠るルパンと次元。 その顔はまるで子どものようにあどけなく、このうえなく幸せそうで。

「まったく…呆れた奴らだ」

 その口元に苦笑を浮かべ、五右ェ門はそっと部屋を出た。

Fin.

【あとがき】
ふわふわ猫のように丸くなってまどろむル次は絶対に可愛いと思う(断言)←

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