アジトの一室で対峙する二人の男。
「…どうしてもやらないといけないのか…?」
「往生際が悪いぜ? 次元。約束は約束だろう?」
口元を引きつらせる次元とは対照的に、ルパンはニヤニヤと緩む口元を隠そうとはしない。
「しかしだなぁ…こいつはいくらなんでも…あんまりじゃねぇのか…?」
差し出された衣装を片手に、次元は大きく大きく、ため息をつく。その姿はまるで、この世の終わりにでも遭遇したかのようで。
実際、彼からすれば、この世の終わりとも思えるような要求を突きつけられているのだから仕方もない。
「お前言ったろ。賭けに負けたら"何でもする"ってな。男に二言はねぇんだろ?」
義理堅いという点では、この相棒は侍にもひけをとらない。それを知っているからこそ、ルパンはわざとそんな言い回しをしてやる。
「けどよぉ…」
世界一のガンマンとも呼ばれる男は、ひどく恨めしげに情けない顔でルパンを見上げる。
「自分で着替えるのと、俺に着替えさせられるのとどっちがいい?」
なお食い下がろうとする次元に、ルパンは究極ともとれる選択肢を示した。
ぐっと一瞬言葉に詰まった次元。だが、とうとう観念したらしい。深いため息をひとつつくと、くるりと踵を返した。
「…分かったよ。やりゃあいいんだろ、やりゃあ。そっちの部屋で待ってろよ」
「素直でいいねぇ、次元ちゃん。んじゃ俺様、準備万端待ってっから」
にやあっと口角を吊り上げたルパンが、次元には悪魔のように見えていた。
そして30分近くの後。
ルパンの待つ、寝室のドアがようやくノックされた。
「遅ぇよ、次元〜」
待ちくたびれたルパンの枕もとの灰皿には吸殻が詰まっている。
しかし、ノックされたものの、そのドアは一向に開く気配を見せない。
「ああもう、入って来いってば!!」
「うわっ馬鹿よせ!!」
思いきりルパンがドアを引く。その先にいたのは。
羞恥で真っ赤に顔を染めた次元。
それも無理はない。次元がその身に纏っていたのは…ただ1枚のエプロンだけ。
しかも何を思ったのか、ルパンがチョイスしたそれは、髭男には世界一似合わないだろうピンクのフリル仕様。
俗に言う、"裸エプロン"。そう。賭けで負けた次元に対するルパンの要求は、これだったのである。
「うわ〜…やべ、想像以上だわ」
もちろん胸元を押し上げるふくらみがあるわけでも、裾から覗くむっちりした太ももがあるわけでもない。
だが、ストイックでクールな相棒が、自分の頼みでこんな恰好をしている。そのことにルパンは興奮していた。
「…っるせーよっ…!! 何が楽しいんだこんなもん!!」
半ギレでルパンに食って掛かる次元。
怒りで目元を赤く染めた顔が、また一層ルパンの情欲をそそっているなど、本人は気付いてもいないだろう。
「やめだやめ!! もう終わりだ!!」
むしろ全裸の方がまだましと考えたのか。紐を解こうとした手をルパンに押さえられた。
「何…」
開きかけた口を乱暴にふさがれる。いつも以上に荒々しいキス。壁に押し付けられ、貪るように求められる。
ルパンの大きな手が、次元の身体を這い回る。
いつものスーツ越しでもない。直に触られるのともまた違う。エプロンの薄い布越しの手の感触が、じわじわと次元を追い詰めていく。
「…ちゃんと興奮してるじゃねぇか」
ひらひらと頼りない布地の裾を、ゆっくりと押し上げだしたものを目敏く見つけ、ルパンが耳元で笑う。
「…うるせぇって…」
いつもと同じ行為なのに、いつも以上に恥ずかしい。
視界に入る己の姿があまりに卑猥で。そんな姿をルパンに見つめられ、居たたまれなくなって次元は顔を背ける。
穴があったら入りたい、いっそのことこのまま消滅してしまいたい。そんな感情でぐちゃぐちゃになる。
「このままやっちまおうか」
「いい加減にしろよ、この変態!!」
次元の罵声にも、ルパンは薄く笑っただけだった。
ベッドの上に次元を押し倒すと、その上に乗りかかる。
「布越しってのも、なかなかいいだろ」
するりと、次元の中心を、エプロンの布地ごと扱きあげる。
「っぅあ…!!」
張り詰めたそこからくぷりと蜜が溢れ、布地に染みを作っていく。
自分でも分かるその感覚に、次元の顔が朱に染まる。
「気持いいだろ次元?」
「覚えて…ろっ…!!」
切れ切れに吐き出される罵声も、もはやただの負け惜しみにしか聞こえない。
空いた手で、布越しに胸の尖りをつまみあげられ、思わず喉が鳴った。
「んぅっ…」
「これ、気持いい?」
くにくにと両方を弄ばれ、その度に擦れて熱を持つ。
堪えきれずに漏れる声が、2人の理性を痺れさせていく。
「今日のお前、すげぇエロい」
額に汗を浮かべ、にやりとルパンが笑う。
その瞳はもう、野生の獣のような色を浮かべ、珍しく余裕がないのを隠そうともしない。
次元の長い足を担ぎ上げると、濡れた指で核心に触れる。
「ひっ…」
何度触れられても慣れない感触に、次元の身体がすくむ。それを押さえ込み、ルパンは根元まで指を押し込む。
次元を知り尽くしたその指は、瞬く間にポイントを探り当てた。
「あああっ!」
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音と、落ちていきそうな喘ぎ声が部屋に響く。
押し返そうとしていたルパンにしがみつき、次元はされるがままになっていた。
やがてほころんできた部分から、つっと指を引き抜く。
「…あ…」
「…んな顔するなって」
ほんの一瞬、物足りなさげな顔で、いなくなったそれを追うような仕種を見せた次元。もう完全に理性はとんでいる。
快楽に目元を染め、閉じきらない口角から唾液を滴らせ。
そんな顔をされたのでは、ルパンだってやばい。着ていたものを脱ぎ捨てると、足を開かせて滾った分身を押し当てる。
「いくぜ」
低く告げ、ルパンは腰を進めた。
「ぅああああ!!」
悲鳴にも近い嬌声。本来男を受け入れる場所ではないそこは、軋みながらもルパンを受け入れる。
「…っは…悪ぃ、加減出来なかった」
「ってぇ…っ…の、覚えてろよっ…」
うっすらと涙のにじんだ目元に唇を落とし、ルパンはゆっくりと動き出した。
「ぁあっ! あっ! ルパ…ンっ!!」
ルパンの動きに合わせて、嬌声が零れる。
その声を飲み込もうとするかのように、ルパンは貪るように唇を重ねる。
息苦しさに顔を背ければ、視界に場違いなほどのピンク色のフリル。猛った分身が、ルパンと布に擦られ、痛いほど充血していく。
「も…ダメ…ルパンっ…」
中と外の刺激で、あっという間に駆け上る。
「俺も…くっ…」
一層激しく突き上げられ、次元は絶頂を迎えていた。
「ああああ!!」
同時に中に注ぎ込まれる熱を感じながら、次元は己を手放していた。
* * * * * *
「失神するほど気持ちよかったわけ?」
意識を失っていたのはほんの少しの間だったらしい。
目を覚ませば、隣ではルパンがにやにやと相好を崩していた。
「…無茶しやがって。ちったぁ労われってんだ!」
互いの体液でどろどろに汚れたエプロンが、ベタベタして気持ち悪い。
悪態をつきながらそれを脱いでいると、ルパンに背中から抱きつかれた。
「いい加減にしろ…!!」
「そんなこと言うなって〜な?」
デレデレとニヤケ面を隠そうともしない相棒に、次元は大きく大きくため息をついた。
「もう2度と、"何でもする"なんて言うもんか…!!」
Fin.
【あとがき】
4500hitを踏まれました、みなみ様から『ル次で裸エプロンエッチ』というリクエストをいただきまして、チャレンジさせていただきました。
ただでさえエッチ描写ってセンスいると思うのですが、そこに裸エプロンまで…!
センスなんて小指の先の欠片ほどもない管理人のため、みなみ様のご期待にそえるものになっているか甚だ疑問ではありますが、少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
これに懲りずにまた遊びにいらしてやってください!
4500hit&リクエストありがとうございました!!
2010/10/02 秋月 拝