特権

 何度目かの絶頂に達して、さすがに二人ともぐったりとベッドに沈み込む。
 上った息が収まるまで抱き合ったまま。
 普段はかなり頑固で我侭な五右ェ門だが、一度理性のタガが外れると、意外なほど素直で甘えん坊な顔も見せる。
 その晩もそうで、身体の熱が収まっても離れようとしなかった五右ェ門はぺたぺたと俺にくっついていたが、不意に俺の頭のてっぺん辺りをつついてきた。

「あぁ?何だ?」
「いや…つむじがある」

 なんだかやたらに物珍しそうな表情で、しげしげと俺の頭を覗き込んでくる。

「そりゃあるだろうよ。何だ?そんなに面白いか?俺のつむじ。自分じゃ見えねぇからな」
「おぬしいつも帽子を被っておるだろう。それに帽子でなくともオールバックではないか」

 だから、"つむじが見えるような髪形になっている次元"が珍しいのだと、真面目な顔をして侍はそう言った。

「へぇ。そんなもんかねぇ」

 変なことを考えるものだ。
「……これは拙者の"特権"と考えて良いのであろうかな」

 ふと、そんなことを言う。

「あん?」

「滅多にないものを見れるのだからな。そんな髪型など風呂上りか、ベッドでぐらいしかないではないか」

 ようやく、理解する。

 つまり、普段オールバックに帽子な俺の乱れた髪を眼にすることが出来るのはベッドの中で五右ェ門を抱いているときだけ。
その姿を見れるのは五右ェ門だけなのだから、それは自分の特権なのだと、そうは言いたいらしい。

「なるほど。確かにそうかもな」
「そうか」

 何故だか嬉しそうな顔になる五右ェ門を見ながら、次元は小さく笑った。
 じゃあこれは、俺の特権なんだろうな。
 お前のそんな笑顔を見ることも。
 その白いしなやかな身体を組み敷くことも。
 欲望のままに上がる甘い喘ぎを聞くことも。
 全て。俺一人の特権。

 言えば恥ずかしがり屋の恋人は、羞恥に頬を染めて次元を罵倒し、盛大にへそを曲げるだろうから決して口にはしないけれど。

「どうかしたのか?次元」

 ひとりニヤケた俺を怪訝に思った五右ェ門が覗き込んでくる。

「いや、何も」

 はぐらかして、その唇にキスを落とす。



 これも、俺だけの特権。

Fin.

【あとがき】
いかがでしたでしょうかf(^_^;)初SSで事後ってどうなんだろwww
ウチの次元はオールバック設定なので、こういう話になりました。
というか短いですね!!ワードで書いて貼り付けたんですが、どれくらい書けばどれくらいになるのかまだ把握出来ていないという。。。
そして自分の作品を人様の目に触れるところに置くのも初めてなので、かなりドキドキです。←チキン!!
秋月 拝

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